坐骨神経痛の痛みやしびれに悩まされていませんか?この辛さは日常生活にも大きな影響を与え、本当に困りものですよね。この完全ガイドでは、坐骨神経痛の原因や症状、タイプ別の対策、そして効果的なセルフケアと筋トレ方法を詳しく解説します。坐骨神経痛の痛みを和らげ、再発を予防するための具体的な方法が分かります。この記事を読むことで、坐骨神経痛のメカニズムを理解し、自分に合った適切な対処法を見つけることができます。さらに、日常生活で気を付けるべきポイントや、悪化した場合の対処法も学ぶことができますので、坐骨神経痛の悩みから解放され、快適な毎日を取り戻すための第一歩を踏み出しましょう。
1. 坐骨神経痛とは何か
坐骨神経痛とは、腰から足にかけて伸びる坐骨神経が圧迫されたり刺激されたりすることで、お尻や太もも、ふくらはぎ、足先などに痛みやしびれ、違和感などが現れる症状のことです。病名ではなく、様々な原因によって引き起こされる症状の総称であることを理解しておきましょう。
1.1 坐骨神経痛の症状
坐骨神経痛の症状は人によって様々ですが、代表的なものとしては以下のようなものがあります。
- お尻から太ももの裏、ふくらはぎ、足先にかけての痛みやしびれ
- 電気が走るようなピリピリとした痛み
- 痛みで足を引きずってしまう
- 長時間座っていると症状が悪化する
- 咳やくしゃみをすると痛みが強くなる
- 足に力が入りにくい、または感覚が鈍くなる
これらの症状は、片側だけに現れることが多いですが、両側に現れる場合もあります。また、痛みの程度も軽いものから激しいものまで様々です。症状が軽い場合は、日常生活に支障がない程度の場合もありますが、重症になると、歩行が困難になることもあります。
1.2 坐骨神経痛と腰痛の違い
坐骨神経痛と腰痛は、混同されやすい症状です。どちらも腰やお尻周辺に痛みを生じることがありますが、痛みの範囲や原因が異なります。
項目 | 坐骨神経痛 | 腰痛 |
---|---|---|
痛みの範囲 | 腰からお尻、太もも、ふくらはぎ、足先まで | 腰周辺 |
原因 | 坐骨神経の圧迫・刺激 | 筋肉の炎症や損傷、骨の変形など |
特徴 | お尻から足にかけての痛みやしびれ、電気が走るような痛み | 腰の痛み、こわばり |
腰痛は、腰周辺の筋肉や骨、関節などに問題があることで発生する痛みです。一方、坐骨神経痛は、坐骨神経が何らかの原因で圧迫または刺激されることで、その支配領域であるお尻から足にかけて痛みやしびれが生じます。坐骨神経痛の中には、腰痛を伴う場合もありますが、腰痛だからといって必ずしも坐骨神経痛であるとは限りません。腰痛と坐骨神経痛を自己判断することは難しいため、症状が続く場合は専門家の診断を受けることが重要です。
2. 坐骨神経痛の主な原因
坐骨神経痛は、その名の通り坐骨神経が圧迫されたり刺激されたりすることで起こる痛みやしびれですが、その原因は一つではありません。いくつかの疾患や状態が坐骨神経痛を引き起こす可能性があり、それぞれ適切な対処が必要です。ここでは代表的な原因を詳しく解説します。
2.1 椎間板ヘルニア
椎間板ヘルニアは、背骨の骨と骨の間にあるクッションの役割を果たす椎間板の一部が飛び出して、神経を圧迫することで痛みやしびれを引き起こす疾患です。腰椎に発生した椎間板ヘルニアの場合、坐骨神経が圧迫され、坐骨神経痛の症状が現れます。特に、重いものを持ち上げた時や、くしゃみをした時などに強い痛みを感じる方が多いです。
2.2 脊柱管狭窄症
脊柱管狭窄症は、背骨の中を通る神経の通り道である脊柱管が狭くなることで、神経が圧迫される疾患です。加齢による骨の変形や靭帯の肥厚などが原因で起こることが多く、腰痛に加えて、下肢のしびれや痛み、間欠性跛行(しばらく歩くと足が痛くなり、休むとまた歩けるようになる症状)などが現れます。進行すると、排尿・排便障害が起こる場合もあります。
2.3 梨状筋症候群
梨状筋症候群は、お尻にある梨状筋という筋肉が坐骨神経を圧迫することで、坐骨神経痛と似た症状を引き起こす状態です。長時間座っていることが多い方や、足を組む癖がある方に多く見られます。お尻の深部に痛みを感じることが特徴です。
2.4 その他(妊娠、腫瘍など)
上記以外にも、坐骨神経痛を引き起こす原因はいくつかあります。
原因 | 詳細 |
---|---|
妊娠 | 妊娠中は、大きくなった子宮が坐骨神経を圧迫することがあります。また、ホルモンバランスの変化により靭帯が緩むことも、坐骨神経痛の要因となります。 |
腫瘍 | 脊椎や骨盤内に腫瘍ができると、坐骨神経が圧迫され、坐骨神経痛の症状が現れることがあります。 |
外傷 | 転倒や交通事故などによる腰への強い衝撃が、坐骨神経を損傷し、痛みやしびれを引き起こすことがあります。 |
感染症 | 帯状疱疹などの感染症が、坐骨神経に影響を与え、痛みやしびれを引き起こすことがあります。 |
糖尿病 | 糖尿病の合併症として、神経障害が起こることがあります。これが坐骨神経に影響を与えると、坐骨神経痛の症状が現れることがあります。高血糖の状態が続くと、神経が損傷しやすくなるため、糖尿病の方は血糖コントロールを適切に行うことが重要です。 |
これらの原因以外にも、冷えや過労、ストレスなども坐骨神経痛の症状を悪化させる要因となることがあります。坐骨神経痛の症状を感じたら、まずは原因を特定することが重要です。自己判断せず、専門家に相談しましょう。
3. 坐骨神経痛のタイプ別の症状と原因
坐骨神経痛は、その原因によって症状や痛みの出方が異なります。ここでは代表的な3つのタイプに分けて、それぞれの特徴を詳しく解説します。
3.1 腰椎椎間板ヘルニアによる坐骨神経痛
腰椎椎間板ヘルニアは、背骨の間にある椎間板というクッションが飛び出し、坐骨神経を圧迫することで起こります。椎間板の突出部位や程度によって症状は様々ですが、特徴的な症状は以下の通りです。
症状 | 詳細 |
---|---|
痛み | お尻や太ももの裏、ふくらはぎ、足先などに鋭い痛みやしびれ が走ることがあります。咳やくしゃみで痛みが悪化することもあります。 |
感覚異常 | 足の一部にしびれや感覚の鈍さ、またはピリピリとした異常感覚が現れることがあります。 |
筋力低下 | 足首や足の指の力が弱くなり、つま先立ちや踵歩きが困難になることがあります。 |
特に、前かがみの姿勢や座っている姿勢で痛みが強くなり、逆に仰向けで膝を曲げると痛みが軽減される傾向があります。
3.2 腰部脊柱管狭窄症による坐骨神経痛
腰部脊柱管狭窄症は、背骨の中を通る脊柱管が狭くなり、坐骨神経が圧迫されることで起こります。加齢による骨や靭帯の変化などが原因となることが多いです。特徴的な症状は間欠性跛行です。
症状 | 詳細 |
---|---|
間欠性跛行 | 一定時間歩くと、お尻や太ももの裏、ふくらはぎなどに痛みやしびれが現れ、少し休むとまた歩けるようになるという症状です。 |
痛み | 腰椎椎間板ヘルニアと同様に、お尻や太ももの裏、ふくらはぎ、足先などに痛みやしびれ が現れます。 |
しびれ | 安静時にもしびれを感じることがあります。 |
前かがみになると脊柱管が広がるため、痛みが軽減される傾向があります。逆に、後ろに反らすと痛みが強くなります。
3.3 梨状筋症候群による坐骨神経痛
梨状筋症候群は、お尻にある梨状筋という筋肉が坐骨神経を圧迫することで起こります。長時間座っていることが多い人や、足を組む癖がある人に多く見られます。
症状 | 詳細 |
---|---|
痛み | お尻の奥深くから太ももの裏にかけて痛み が現れます。腰痛はあまり伴いません。 |
しびれ | 痛みと同様に、お尻から太ももの裏にかけてしびれを感じることがあります。 |
圧痛 | 梨状筋の部分を押すと痛みを感じます。 |
同じ姿勢を続けると症状が悪化しやすく、足を組んだり、正座をしたりすると痛みが増すことがあります。また、腰椎椎間板ヘルニアや腰部脊柱管狭窄症とは異なり、咳やくしゃみで痛みが悪化することは少ないです。
上記は代表的な3つのタイプですが、坐骨神経痛の原因は他にもあります。自己判断せずに、症状が続く場合は医療機関への受診をおすすめします。
4. 坐骨神経痛のセルフケア
坐骨神経痛の痛みを和らげるためのセルフケアは、症状の緩和に役立ちます。ただし、セルフケアはあくまで補助的なものであり、痛みが強い場合や長引く場合は、医療機関への受診が不可欠です。 症状に合った適切なセルフケアを行いましょう。
4.1 ストレッチ
ストレッチは、坐骨神経痛の原因となる筋肉の緊張を和らげ、血行を促進する効果が期待できます。痛みを感じない範囲で、無理なく行いましょう。
4.1.1 ハムストリングスのストレッチ
ハムストリングスは、太ももの裏側にある筋肉群です。この筋肉が硬くなると、坐骨神経を圧迫し、痛みを引き起こす可能性があります。床に座り、片方の足を伸ばし、もう片方の足は膝を曲げて足の裏を太ももの内側につけます。伸ばした足のつま先に向かって上体を倒し、太ももの裏側に伸びを感じながら30秒ほどキープします。反対側も同様に行います。
4.1.2 梨状筋のストレッチ
梨状筋はお尻の深部にある筋肉で、坐骨神経の近くを通っています。梨状筋が硬くなると、坐骨神経を圧迫し、痛みを引き起こすことがあります。仰向けに寝て、両膝を立てます。片方の足をもう片方の太ももに乗せ、太ももを抱えるように胸に引き寄せます。お尻に伸びを感じながら30秒ほどキープします。反対側も同様に行います。
4.1.3 お尻のストレッチ
お尻の筋肉のストレッチも坐骨神経痛の緩和に効果的です。床に座り、両足を伸ばします。片方の足を曲げ、かかとをお尻に近づけます。曲げた足の膝を外側に倒し、手で押さえます。お尻の筋肉が伸びているのを感じながら30秒ほどキープします。反対側も同様に行います。
4.2 温熱療法
温熱療法は、血行を促進し、筋肉の緊張を和らげる効果があります。温めることで痛みが緩和されるタイプの坐骨神経痛に有効です。 ホットタオルや使い捨てカイロ、入浴などで患部を温めましょう。低温やけどに注意し、心地良い温かさで15~20分程度温めるのが効果的です。
4.3 冷罨法
炎症が強い場合は、冷罨法が有効です。冷やすことで痛みが和らぐタイプの坐骨神経痛に適しています。 保冷剤や氷嚢をタオルに包み、患部に15~20分程度当てます。凍傷を防ぐため、直接肌に当てないように注意しましょう。
4.4 日常生活での注意点
日常生活での姿勢や動作に注意することで、坐骨神経痛の予防や悪化防止に繋がります。
注意点 | 具体的な内容 |
---|---|
正しい姿勢 | 猫背は腰に負担がかかり、坐骨神経痛を悪化させる可能性があります。立っているときは、背筋を伸ばし、お腹を軽く引き締め、顎を引きます。座っているときは、深く腰掛け、背筋を伸ばし、足を床につけましょう。 |
適切な睡眠 | 睡眠不足や不適切な寝姿勢は、坐骨神経痛の悪化につながる可能性があります。仰向けで寝る場合は、膝の下に枕を置き、膝を軽く曲げると腰への負担を軽減できます。横向きで寝る場合は、膝の間にクッションを挟むと良いでしょう。自分に合ったマットレスを選ぶことも重要です。 |
重いものを持ち上げるときの注意点 | 重いものを持ち上げるときは、膝を曲げて腰を落とすようにし、背中を丸めないように注意しましょう。また、荷物を持つときは身体に近づけて持ち、できるだけ左右均等に重さがかかるようにしましょう。 |
5. 坐骨神経痛の筋トレ
筋トレは、坐骨神経痛の予防や改善に効果的ですが、痛みがある場合は悪化させる可能性もあるため、無理に行うのは避けましょう。 痛みが落ち着いてきたら、医師や専門家の指導のもと、徐々に筋トレを始めましょう。以下の筋トレは、あくまで一例です。
5.1 坐骨神経痛に効果的な筋トレメニュー
体幹や下半身の筋肉を鍛えることで、坐骨神経への負担を軽減し、痛みを予防・改善することができます。
5.1.1 体幹トレーニング
プランクやドローインなどの体幹トレーニングは、腰回りの安定性を高め、坐骨神経痛の予防に効果的です。プランクは、うつ伏せになり、肘とつま先を床につけて身体を一直線に保つトレーニングです。ドローインは、仰向けに寝て、息を吐きながらお腹をへこませ、お腹周りの筋肉を鍛えるトレーニングです。
5.1.2 下半身強化トレーニング
スクワットやレッグレイズなどの下半身強化トレーニングは、下半身の筋肉を強化し、坐骨神経への負担を軽減する効果が期待できます。スクワットは、足を肩幅に開いて立ち、膝を曲げて腰を落とすトレーニングです。レッグレイズは、仰向けに寝て、足を上げて下ろすトレーニングです。
5.2 筋トレ時の注意点
筋トレを行う際は、以下の点に注意しましょう。
- 痛みがある場合は、筋トレを中止する。
- 正しいフォームで行う。
- 無理をせず、徐々に負荷を上げていく。
- 呼吸を止めない。
- 違和感を感じたら、すぐに中止する。
これらのセルフケアや筋トレは、坐骨神経痛の症状を和らげるための補助的な方法です。症状が改善しない場合や悪化した場合は、自己判断せずに医療機関を受診しましょう。
6. 坐骨神経痛の筋トレ
坐骨神経痛の痛みを和らげ、再発を予防するためには、筋力トレーニングが非常に重要です。特に、体幹や下半身の筋肉を強化することで、坐骨神経への負担を軽減し、安定した姿勢を保つことができます。適切な筋トレは、痛みの緩和だけでなく、日常生活の質の向上にも繋がります。
6.1 坐骨神経痛に効果的な筋トレメニュー
痛みがある時は無理せず、痛みのない範囲で下記のトレーニングを行いましょう。どのトレーニングも、正しいフォームで行うことが大切です。もしフォームに不安がある場合は、専門家に相談しましょう。
6.1.1 体幹トレーニング
体幹トレーニングは、姿勢を安定させ、腰への負担を軽減する効果があります。以下に、坐骨神経痛に効果的な体幹トレーニングをいくつか紹介します。
トレーニング名 | やり方 | 回数・セット数 | 注意点 |
---|---|---|---|
ドローイン | 仰向けに寝て膝を立て、息を吐きながらお腹をへこませ、数秒間キープします。 | 10~15回×3セット | 腰が反らないように注意しましょう。 |
プランク | 肘とつま先を床につけ、体を一直線に保ちます。 | 30秒~1分×3セット | 腰が反ったり下がったりしないように注意しましょう。 |
サイドプランク | 横向きに寝て、片方の肘と足の外側で体を支え、体を一直線に保ちます。 | 左右30秒~1分×3セット | 腰が反ったり下がったりしないように注意しましょう。 |
6.1.2 下半身強化トレーニング
下半身の筋肉を強化することで、坐骨神経への負担を軽減し、安定した歩行を促します。
トレーニング名 | やり方 | 回数・セット数 | 注意点 |
---|---|---|---|
スクワット | 足を肩幅に開き、椅子に座るように腰を落とします。 | 10~15回×3セット | 膝がつま先よりも前に出ないように注意しましょう。 |
ヒップリフト | 仰向けに寝て膝を立て、お尻を持ち上げます。 | 10~15回×3セット | 腰を反りすぎないように注意しましょう。 |
レッグレイズ | 仰向けに寝て、片足を天井に向かって持ち上げます。 | 左右10~15回×3セット | 腰が反らないように注意しましょう。 |
6.2 筋トレ時の注意点
筋トレを行う際には、以下の点に注意しましょう。
- 痛みがある場合は、無理にトレーニングを続けないでください。痛みが強い場合は、医療機関への受診を検討しましょう。
- トレーニング前は、必ずウォーミングアップを行いましょう。ウォーミングアップによって筋肉を温めることで、怪我の予防に繋がります。
- トレーニング後は、クールダウンを行いましょう。クールダウンによって筋肉の疲労を軽減し、柔軟性を保つことができます。
- 自分の体力や体調に合わせて、トレーニングの強度や頻度を調整しましょう。無理なトレーニングは、逆効果になる場合があります。
- 正しいフォームでトレーニングを行うことが重要です。フォームが崩れると、効果が半減するだけでなく、怪我のリスクも高まります。もしフォームに不安がある場合は、専門家に相談しましょう。
これらの筋トレは、坐骨神経痛の症状緩和や予防に効果的ですが、すべての人に有効とは限りません。症状が改善しない場合や悪化する場合は、自己判断せず、医療機関を受診しましょう。
7. 坐骨神経痛が悪化した場合の対処法
坐骨神経痛の症状が改善しない、あるいは悪化した場合は、自己判断で対処せず、速やかに医療機関を受診することが重要です。特に、以下のような症状が現れた場合は、緊急性を要する場合がありますので、すぐに医療機関に連絡しましょう。
症状 | 詳細 |
---|---|
排尿・排便障害 | 尿が出にくい、尿が漏れる、便が出にくい、便が漏れるなどの症状が現れた場合、脊髄神経が圧迫されている可能性があります。 |
下肢のしびれ・麻痺の悪化 | しびれや麻痺の範囲が広がったり、感覚が全くなくなったりした場合も、早急に医療機関を受診する必要があります。 |
発熱を伴う | 坐骨神経痛に伴って発熱がある場合は、感染症などの別の病気が隠れている可能性も考えられます。 |
耐えられないほどの痛み | 痛み止めを飲んでも痛みが治まらない、夜も眠れないほどの激しい痛みがある場合は、我慢せずに医療機関に相談しましょう。 |
原因不明の体重減少 | 特に思い当たる原因がないのに体重が減少している場合は、重大な病気が隠れている可能性も否定できません。 |
医療機関では、症状や原因に応じて適切な検査と治療が行われます。主な検査方法には、X線検査、MRI検査、CT検査などがあります。これらの検査によって、坐骨神経痛の原因を特定し、適切な治療方針を決定します。
7.1 医療機関の受診
医療機関を受診する際には、いつから症状が現れたか、どのような時に痛みが強くなるか、どのような動作で痛みが楽になるかなど、症状について詳しく伝えることが大切です。また、これまでに行ったセルフケアや服用している薬があれば、それも医師に伝えましょう。
7.1.1 受診する医療機関の選び方
坐骨神経痛の治療は、整形外科、ペインクリニック、神経内科などで対応可能です。どの診療科を受診すれば良いか迷う場合は、まずは近くの医療機関に相談し、適切な診療科を紹介してもらうと良いでしょう。また、セカンドオピニオンを求めることも可能です。
7.1.2 診察の流れ
医療機関を受診すると、問診、診察、検査などが行われます。問診では、症状や既往歴、生活習慣などについて詳しく聞かれます。診察では、姿勢や歩行、神経学的検査などを行います。必要に応じて、X線検査、MRI検査、CT検査などの画像検査が行われます。
7.1.3 治療方法
坐骨神経痛の治療法は、原因や症状の程度によって異なります。保存療法としては、薬物療法(痛み止め、神経障害性疼痛治療薬など)、神経ブロック注射、理学療法(ストレッチ、運動療法など)などがあります。これらの保存療法で効果が得られない場合は、手術療法が検討されることもあります。
8. 坐骨神経痛の予防法
坐骨神経痛は再発しやすい症状のため、発症後のケアだけでなく、日頃から予防を意識することが大切です。ここでは、坐骨神経痛の予防に効果的な方法を、日常生活における注意点、運動、セルフケアの3つの側面から詳しく解説します。
8.1 日常生活での予防
日常生活における姿勢や動作の改善は、坐骨神経痛の予防に大きく貢献します。以下に具体的な方法を紹介します。
8.1.1 正しい姿勢の維持
猫背や反り腰などの不良姿勢は、腰椎や骨盤に負担をかけ、坐骨神経痛を引き起こす原因となります。日頃から正しい姿勢を意識し、背筋を伸ばし、お腹に軽く力を入れるようにしましょう。 デスクワークが多い方は、椅子に深く腰掛け、足を床につけるようにし、モニターの位置を調整することで、首や肩への負担も軽減できます。
8.1.2 適切な睡眠
睡眠中は、身体を休め、疲労を回復させる大切な時間です。質の高い睡眠を確保するために、自分に合った硬さのマットレスを選び、寝返りを打ちやすい環境を整えましょう。 横向きで寝る場合は、膝の間にクッションを挟むと、腰への負担を軽減できます。
8.1.3 重いものを持ち上げるときの注意点
重いものを持ち上げる際は、腰を曲げるのではなく、膝を曲げて中腰の姿勢になり、荷物に近い位置で持ち上げるようにしましょう。また、急に立ち上がったり、身体をひねったりする動作は避け、ゆっくりと動作を行うように心がけてください。
8.1.4 長時間の同一姿勢を避ける
デスクワークや車の運転など、長時間にわたり同じ姿勢を続けることは、腰や臀部に負担をかけ、坐骨神経痛の原因となります。1時間に1回程度は立ち上がって軽いストレッチを行う、作業中に姿勢を変えるなど、こまめな休憩を挟むようにしましょう。
8.1.5 適切な体重管理
過度な体重増加は、腰椎や椎間板への負担を増大させ、坐骨神経痛のリスクを高めます。バランスの良い食事と適度な運動を心がけ、適正体重を維持するようにしましょう。
8.2 運動による予防
適度な運動は、筋力強化、柔軟性向上、血行促進に繋がり、坐骨神経痛の予防に効果的です。以下に具体的な運動方法を紹介します。
8.2.1 ウォーキング
ウォーキングは、特別な準備や道具を必要とせず、手軽に取り組める有酸素運動です。無理のないペースで、30分程度を目安に、週に数回行うと良いでしょう。
8.2.2 水泳
水泳は、浮力によって腰への負担が軽減されるため、腰痛持ちの方にもおすすめの運動です。水中ウォーキングやクロールなど、自分に合った泳ぎ方で、無理なく継続しましょう。
8.2.3 ヨガやピラティス
ヨガやピラティスは、体幹を強化し、柔軟性を高める効果があります。正しい姿勢で行うことで、腰椎や骨盤の安定性を向上させ、坐骨神経痛の予防に繋がります。 経験豊富なインストラクターの指導を受けることが推奨されます。
8.3 セルフケアによる予防
日々のセルフケアも坐骨神経痛の予防に効果的です。以下に具体的な方法を紹介します。
8.3.1 ストレッチ
ストレッチは、筋肉の柔軟性を高め、血行を促進する効果があります。ハムストリングス、梨状筋、お尻のストレッチなど、坐骨神経痛に関連する筋肉を中心に、毎日行うようにしましょう。
8.3.2 温熱療法
温熱療法は、血行を促進し、筋肉の緊張を和らげる効果があります。温かいタオルや湯たんぽなどを患部に当てたり、入浴で身体を温めることで、坐骨神経痛の予防に繋がります。
これらの予防法を実践することで、坐骨神経痛のリスクを軽減し、健康な身体を維持することができます。しかし、既に症状が出ている場合や、症状が悪化する場合は、自己判断せずに専門家のアドバイスを受けるようにしましょう。
9. まとめ
この記事では、坐骨神経痛の症状、原因、セルフケア、筋トレ、予防法について詳しく解説しました。坐骨神経痛は、腰から足にかけて伸びる坐骨神経が圧迫されることで、痛みやしびれなどの症状が現れる疾患です。主な原因には、椎間板ヘルニア、脊柱管狭窄症、梨状筋症候群などが挙げられます。
坐骨神経痛のセルフケアとしては、ハムストリングス、梨状筋、お尻のストレッチ、温熱療法、冷罨法などが有効です。また、日常生活では正しい姿勢を保つ、適切な睡眠をとる、重いものを持ち上げるときに注意するなど、生活習慣の改善も重要です。さらに、体幹トレーニングや下半身強化トレーニングなどの筋トレも効果的ですが、痛みがある場合は無理に行わず、医師や理学療法士に相談しましょう。
坐骨神経痛の予防には、日頃からストレッチや筋トレを行い、腰への負担を軽減することが大切です。症状が悪化したり、長引く場合は、自己判断せず、医療機関を受診しましょう。早期の診断と適切な治療が、坐骨神経痛の改善につながります。何かお困りごとがありましたら当院へお問い合わせください。